第11回地熱シンポジウムin 由布〜地熱発電の促進には官民一体の取り組みがカギ〜第11回地熱シンポジウムin 由布

2023年10月16日

独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は9月4日、大分県・由布市で「第11回地熱シンポジウムin由布」を開催しました。

日本は地熱資源量が2340万キロワットと、アメリカ、インドネシアに次いで世界第3位であるにもかかわらず、導入量は60万キロワットと第10位に甘んじています。地熱開発がなかなか進まない理由として、開発コストや掘削リスク、規制緩和などと並び、温泉地である地元住民からの理解が得にくいことが挙げられます。一方で、日本は2050年カーボンニュートラルを目指して、再生可能エネルギーの比率を2030年に現在の22%から倍の46%に拡大することが求められています。その中で地熱発電の導入量を100万キロワットに引き上げる目標が掲げられています。

こうしたことを背景として、地熱発電の促進における課題解決策の1つが、地熱の認知を上げること。つまり、温泉事業者が抱える懸念を払拭すると同時に、国民に広く地熱を知ってもらうことです。このため、JOGMECは毎年、10月8日の「地熱の日」を中心に、地熱発電に取り組んでいる地域で地熱シンポジウムを開催しています。

今年は、地熱開発が極めて浸透している大分県由布市で開催。経済産業省や地方自治体、超党派地熱発電普及推進議員連盟、電力会社、地熱開発事業者、温泉関係者、地熱の他段階利用事業者など、地熱開発に関わるステークホルダーが一堂に会しました。認知を上げるにはまず地熱について知ることが大事として、大分県の地熱発電の歴史や地熱で発電した電力の活用例、そして地熱と温泉との共創共栄を目指した取り組み事例が紹介されました。

九州は海洋プレートが大陸プレートに沈み込む辺りに位置しています。プレート活動によってできたマグマにより、火山性の山々が九州の南北を走る火山フロントというラインを形成しています。このため、九州は地熱が豊富です。火山フロント上にある大分県は、自らを「日本一のおんせん県」と呼ぶように、温泉源泉数の全国に占める割合が18%、湧出量が12%と、共に日本一を誇ります。また、地熱発電の導入量の割合も32%(175メガワット)と、日本一となっています。

大分県は地熱発電における歴史も非常に長きに渡っています。1900年代に世界で最初の地熱発電がイタリアで行われて以来、25年に日本で初めての地熱発電所が別府市に造られました。その後、50年代にニュージーランドで熱水分離型の発電所が開発されたのを機に、67年に大岳発電所が、日本で初めての熱水分離型地熱発電所としてオープンしました。そして70年代に入り、国内最大規模となる八丁原発電所が運転を開始しました。

地熱発電の活用例として、大分県では現在、地熱発電によるグリーン水素製造の実証実験が行われています。また発電に使った熱は、パプリカの生産やきくらげの栽培などの農林業に活用されています。

パネルディスカッションでは、地域と地熱の共創共栄には、温泉事業者と地熱開発事業者との信頼関係の構築が重要であると訴求されました。地熱事業者によるモニタリングを通じて、地域に安全・安心を届けること、そして、地域の活性化のために地域住民自身が地熱開発を運営していくことが地熱促進につながるとし、その代表的な例として、私たちベースロードパワーも参画する熊本・小国のわいた地熱発電所や、福島・土湯の土湯温泉バイナリー発電所が紹介されました。「温泉は私たちの財産です」と、由布市まちづくり観光局代表理事の桑野和泉氏は言います。共創共栄により、エネルギー転換を後押してサステナブルな社会を築き、同時に雇用を生み出すことができます。

地熱の普及・促進には、官民一体の協力も不可欠です。JOGMECは探査や掘削のための助成金を交付するなど資金面でのサポートをすることでリスクの低減に努めています。地熱開発を描いた小説『マグマ』の作家 真山仁氏はソーシャルメディアなどを通じて、世論の後押しを得ることも必要だと述べました。シンポジウムには、地熱に関する法律や規制緩和などに取り組む、超党派地熱発電普及推進議員連盟の武部新衆議院議員も加わり、官民一体となって、“本気で取り組まなければならない”と異口同音に述べました。

私たちベースロードパワーも日本の地熱バイナリーの普及と促進に貢献していきます。 写真提供: JOGMEC

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